パンクな自転車屋さん

普段、自転車で通勤してるんですけどね。

先週、仕事終わって帰ろうと愛車に跨ったら何か違和感を感じまして。

サドルからの圧がないんですよ。

押し返しがないんです。

お前はそんなやわじゃないだろうと。

シティバイクさながらの硬いサドルをケツにぶつけてくるのがお前だろうと。

で、少し調べてみると後輪がパンクしてたんですね。

「ファッキュー世の中。」

空に中指を立ててそう呟いてから職場の近くの自転車屋に立ち寄ったんですよ。

「後輪空気入れたら直りました。穴空いてる感じは今のところわかんないです。水通したら調べられるけどどうします?」

そう閉店近くに入店した俺を鬱陶しそうな目で見て対応する店員が言うわけですよ。

で、実際早く帰りたかったし、店員も調べるなよって圧かけてきてたんでね。

「もういいです。帰ります。」って答えてあげたんですよ。

そんな態度にふと気を許したのかサービスで前輪にも空気入れてくれたんですけど、そんなの今更ですよね。

それで翌朝。

やっぱり後輪パンクしてるんですよね。

 

まあしゃあないなと。

そういうもんだろうと。

どっか穴空いてないとあり得ない空気の抜け方でしたからね。

お腹と背中くっついてたからね。

で、もう仕方ないから休みの日に車に自転車乗っけていつも行ってるほうの店に修理持っていこうと思ったらね。

前輪パンクしてたんですよ。

 

これもしかしてやられてるんじゃないかと。

性善説を信じ、優しさの権化とまで言われた俺に。

人の悲しみに涙を流し、地面に墜ちたツバメがその涙を飲んだら元気に飛び去ったという伝説があったりなかったりする俺に。

そんなことをする奴がいるのかと。

許せないと。

怒りに震える拳を抑えて、悪意の槍をその身に受けた愛車を信用の足る店に持って行ったんです。

原因はなんだったのかと。

人の悪意によるものなのかと。

人の愚かさに失望しながら問うたわけです。

「後輪は刺さり物を踏んだっぽいですね。」

まあそうだろう。後輪はその可能性が高い。

問題は前輪だと。

「前輪は空気の入れ過ぎですね。」