さよなら天さん

日曜日に職場の社員でご飯を食べに行こうということになりましてね。

どこがいいかなって話でなかなか決まらなくてね。

そういうとき大体自分が決める流れになるんです。

で、目を閉じて考えるわけですよ。

今一番求めているものはなにかと。

一番舌の上で踊ってくれるダンサーは誰かと。

ダンスホールを盛り上げてくれるイカれたメンバーはいないかと。

なるほど、今夜は餃子と踊ろうと。

 

で、近くに餃子の王将があったんでね。

あ〜もうこれだなと。

決まったなと。

そうと決まれば準備ですよ。

心を身体を中華に合わせていくわけですよね。

プランニングしていくわけです。

腹の空き具合からオーダー逆算して、段取り組んでいくんです。

店に着いたら前に5組でね、待ってる間に香ばしい油の匂いが流れてくるんですよね。

これこれこれこれぇ!

空いていく胃と反比例して膨らむ期待が最高潮に達したときに店員がこっちに来るわけですよね。

「餃子が完売しました。申し訳ございません。」

 

は?

聞き間違いかな?

俺の耳が悪いのかな?

理解に時間を要している間にも、怒って帰る前の5組。

そりゃそうですよ。

餃子の王将なのに餃子がないからね。

丸亀にうどんがないような、フランス屋にパンがないようなもんですからね。

餃子とビールで優勝するプランがパアですよ。

ただ、今からプラン変更なんて無理ですから。

もう心も身体も中華に染まってますからね。

今更ほかなんて考えられないですからね。

仕方なく入るんですけどね。

仕方なく餃子なしで踊ったんですけどね。

失って初めてわかるっていうのかな。

やっぱりお前がいないと駄目だったよ。

ってなると思ったけど

お腹いっぱいになったら案外そうでもなかった。

 

やっぱり自分が大事だと思ってることが本当にそうなのか、逆に評価の低いものが実は大事だったりとか。

そういうことってあると思うんですよね。

だからもっと客観的になろうと教えられましたよ。

いや、さすがに餃子は駄目だろ。